全人口の6.5%も存在すると言われている“発達障害児”
クラスの中に2~3人はいる決して低くはない確率です。周りのお友達に、そんな子がいるかもしれません。また、もしかして、あなたのお子さんがそうであるかもしれません。
私の息子は知的障害を伴う自閉症です。
ですから、いわゆるグレーゾーンの子どもには当たりません。(グレーゾーンとは・・・白か黒か診断の難しい発達障害の俗称)
けれども、定型発達の子も、障害のある子も、その障害程度が軽くても重くても、子育ての根っこは同じだと思うんです。
例えば.....
子どものあるがままを認めず健常児に近づけようと必死に療育したり…
学校選びの選択を間違ってしまったり…
担任やママ友に「知られたくない」と隠したり、他の子と比べたり…
「あなたのここが改善したらあなたは幸せになる。ママも幸せになる」の気持ちがどこかに潜んでいたり…
でも、これでは子どもも親も幸せにはなれないと思うのです。
詳しくは “『発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年』”を読んでくださいね。
冒頭 抜粋
“私の未来予想図のなかには“障害児の母になる”なんて計画はまったくありませんでした。
2000年ミレニアムベイビーとして記念すべき年に誕生したのに……。
くじを引いても当たった試しがないのに……。
私のところにやってきたのは人口の1~2%の確率で生まれる“自閉症”の男の子でした。どんなに医学が進歩しても、障害児はいつの時代も一定の割合で生まれます。 医師から「お母さん、自閉症は生まれつきの脳の障害で一生治ることはないですよ」と言われました。
落ち込んでいる私をママ友が慰めてくれました。
「子どもは親を選んでやってくるのよ。神様がくださった天使なのよ。立石さんなら育てられるからやってきたのよ」。
私は当時、幼児教室を経営し、特別支援学校(以下、支援学校と表記)の教員免許も持ち、子育てのプロだと思われていたので、こう励ましてくれたのでしょう。
けれども、私は心のなかで「綺麗ごとを言わないでよ。神様に選ばれたくなんかなかったわよ。ああ、くじ運悪い……!」と叫んでいました。「五体満足な子でありますように。健康で元気な赤ちゃんが生まれますように」……。これから母になる人は願います。誰も好んで「障害のある子を産みたい」なんて思っていません。
だからママ友の親切な言葉は、私にとっては善意の押し売りでした。育てにくい子の子育てに疲れ果ててしまい鬱病になる人、虐待をしてしまう人だっています。さらに出生前診断を受けた人のうち9割が堕胎している現実……。
ですから、神様は育てられる親を選んで子どもを授けるわけではないのです。とはいえ、他人を恨んだり健常児をうらやんだりしていても、子どもの状態が変わるわけではありませんでした。
私自身が変わり、子どもの障害を受け容れ、時が経ち、今、息子は16歳になりました。障害児ママ仲間のなかには「今度、妊娠できたら普通の子がいい」と言う人もいます。
でも、私は違います。嘘偽りなく「もし、もう一度妊娠することができても、この子がいいな」とまで思えるようになりました。正直、今もしんどい子育て中です。成人しても親が面倒をみなくてはなりません。親亡きあとのことも心配です。でも、この子がいるから毎日ご飯を作って家事をして仕事もがんばれます。"
本書では、息子のエピソードや、今まで出会ってきた多くの発達障害のお子さんの話を交えながら、障害受容、療育選び、カミングアウト、学校選びなど、子どもの将来を左右する大切な“分岐点”で親としてぶつかる様々な悩みと解決法をお伝えしています。